婚約指環は手錠の代わり!?
「で、芹口さんの返事は?
……って結果がその指環か」

「……はい」

今朝から視線がちらちらと向かってくるけど、誰もなにも云わなくて。
部長がいま出張中だから、戻ってきてから結婚報告するって海瀬課長が云うから、知ってる人も誰もいなく。
きっとこれで、一気に広まっちゃうんだろうな。

「でもいいの?
芹口さん。
俺が云うのもなんだけど、あの海瀬課長だろ」

「大丈夫、です」

ちょっと心配そうな高見さんに苦笑いで返す。

確かに口悪いし、いろいろわかりにくいけど。
実は「好き」って口にするのも恥ずかしすぎてなかなか云えないくせに、
「彼女なんて言葉じゃ足りないくらい愛してるから、彼女じゃない」
なんて云ったりする可愛い人だって知ったら、もう。

「へー。
ちょっと意外だった、かも。
芹口さん、海瀬課長に迷惑してるんだって思ってた」

「だから高見くんは人を見る目がないの」

ふふふっ、今日も絶好調に毒舌で、新橋さんは笑ってる。
< 128 / 136 >

この作品をシェア

pagetop