婚約指環は手錠の代わり!?
こちらに振り返ると僅かに笑う。

眩しそうに細められた、眼鏡の向こうの目。
少しだけ笑みの載った、きれいに両側のあがった唇。

嬉しそう、というか。
まるでそんな顔に、心臓がどくんと大きく跳ねた。

「その。
なんで私が飲み会に参加するの、邪魔するんですか?」

「酔うと君は、ろくなことにならないからだろ?」

不思議そうに少しだけ首が傾く。

いつもと違う表情。

心臓、うるさい。
黙れ。

「別に飲み会に参加したからってお酒飲んだりしませんし。
あれは仕方なかっただけで、いままでだってこれからだって」

「そうか?」

「それに、海瀬課長に心配していただかなくったって」

気がついたら、壁際に追いやられてた。
長身の海瀬課長に見下ろされて、喉がごくりと音を立てた。
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