婚約指環は手錠の代わり!?
寝室を出ると、キッチンで海瀬課長が作業をしていた。

「料理、するんですね」

よくよく考えなくても、以前泊まったときも簡単ながらちゃんとした朝食が出たし、今日のはお昼に近い時間だったからか、もっと豪華だった。

「なに?
悪い?
独身男が凝ることなんて限られているからな」

にやり、右の頬だけがあがる。

ソファーに座ってぼーっと海瀬課長が料理してるのを見てた。
とんとんとリズミカルに包丁の音が響き、じゃーじゃーと楽器でも奏でるみたいに鍋をふるう。

「できたぞ」

今朝のことがあるから警戒してダイニングに行ったものの、今度は膝の上に載せられなかった。

向かい合って座ったテーブルの上には料理が並んでる。
ガーリックトースト、オニオンスープ、サラダ、メインはトマト煮込み。

「ある食材だけで作ったから、ろくなものができなかったが」

「……いえ」

……十分、豪華だと思います。
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