婚約指環は手錠の代わり!?
何度も切なげに名前を呼ばれ、口から出そうになった言葉を必死で飲み込む。

海瀬課長の気持ちが全くわからない訳じゃない。
でも、確信が持てない。
確信が持てないから云いたくないし、もしそうだったとしてもこれは海瀬課長の口から云わせたい。
だってこれじゃ、私の方から惚れたみたいでなんか悔しい。

 
気がついたら真っ暗な部屋の中、ベッドサイドの明かりだけがついている。

「眩しかったか?」

「……いえ」

私の隣で海瀬課長はうつ伏せで本を読んでいた。
ただ、右手は私の右手と指を絡めて繋いでる。
そこだけ見ると、まるでラブラブなカップルみたいだ。

「もう少し、ゆっくりしとくといい」

恋人みたいに甘い口づけを私の唇に落とすと、海瀬課長は寝室を出ていった。
ひとりになるとベッドの中でもぞもぞと丸くなる。

……ひとこと、云って欲しいだけなんだけどな。
そしたら私も素直になれるのに。
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