過保護な副社長はナイショの恋人
「おはようございます……。いえ、今日はなにも……」

やっぱり夢じゃなかった。当たり前に電話がかかってきて、それを実感する。

「じゃあ、今日会えないか? 迎えに行くから、何時頃がいい?」

「えっ⁉︎ 今からですか?」

ヤバイ……。まさか、起きたばかりだなんて言えない。途端に動揺を見せた私に、電話の向こうの一翔さんは、明らかに不機嫌な口調になっていた。

「迷惑ならいい。夜でも、別の日でも構わないから」

「い、いえ。そうじゃないんです。実は、さっき起きたばかりで……」

怒らせてしまったかもとの焦りから、本当のことを話すと、一瞬の間が空いたあと、彼の笑いを押し殺す声が聞こえてきた。

「……ごめん。休みだもんな。じゃあ、待ってるから、支度が出来たら連絡くれる?」

と言いながら、クックと笑っている。昨夜は同じタイミングで帰ったはずなのに、一翔さんはしっかり起きていたんだ。

「はい。すぐに支度します」

恥ずかしい……。だらしがないと、思われていなければいいけど。電話を切るとすぐに、支度を始めた。
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