過保護な副社長はナイショの恋人
まぶたを閉じていても分かるほど、陽の光が差し込んでいる。

「ん……」

ゆっくり目を開けると、いつもの光景が入ってきた。薄いピンクカーテンから、光がこぼれている。

「今何時？」

ボーッとする頭でスマホを見ると、十時になっていた。昨夜は、〇時には家に帰っていたんだった。

一翔さんが、「今夜はもう帰ろう」と言って……。昨夜、告白されたことはウソじゃないよね？

あまりにリアル感がなさすぎて、まるで夢を見ていたんじゃないかと思うほどだ。

1DKのこのマンションは、セキュリティこそ不満はないけど、一般的な一人暮らし用の部屋でシンプルなもの。

ベッドと小さなドレッサーに、ハンガーラック。ふたりが使うだけでいっぱいのリビングテーブルに、三十二インチのテレビがあるだけ。

生活感溢れるこの部屋を見ていると、私が自分の会社の副社長と付き合うことになったなんて信じられない。

「実は、本当に夢だったりして……」

いまいち実感が掴めないまま起きようとしたとき、電話が鳴った。驚いてディスプレイを見ると、一翔さんからでさらにビックリする。

「も、もしもし……」

ドキドキ緊張しながら電話に出ると、優しい一翔さんの声が聞こえてきた。

「おはよう、咲実。今日は、なにか予定がある？」
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