不機嫌なカレと秘密なつながり
別に…いいけど、さ

才能があると思ってた彰汰は、普通の男と変わらないんだよ?

父親がバスケのプロだから、それに見合う息子であろうと彰汰が作ってた姿なんだって
…ってクラスのどれくらいが知ってるのかな?

ホテルで、バスケは嫌いとか言ってたくせに、結局、部活は辞めないって言ってた

あたしが、ボールを追いかけている彰汰の目が好き…って言ったのをしっかりと聞いてたみたいで

また言われたいから、続けるだってさ

ほんと、彰汰って単純で馬鹿よね

あたしも、また彰汰のバスケ姿が見られるって思ったら嬉しくなっちゃった単純な女なんだけどね

「姫歌、部活行ってくるから。図書室で待ってろ」

彰汰が大きなスポーツバックを肩に引っ掛けたままで、廊下の窓から顔を出すと、あたしに行ってきた

「残念でした! あたしも部活に入ったの」

あたしは席を立つと、にっこりと笑った

「はあ? どこに?」

廊下を歩く足を急停止した彰汰が、目をむき出して怖い顔で教室に入ってきた

「サッカー部」

「運動音痴の姫歌が、なんで女子サッカーなんだよ」

「ち、が、う」

あたしは指を立てると、彰汰の前で左右に振った
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