【短編】泣き顔記念日
──────ガチャ
ドアの開く音が聞こえたけど、僕は目をつぶったまま。
七瀬がいつもみたいにやってきてくれないかって、思いすぎてきっと幻聴でも聞こえたんだ。
「…るい、ゲームしていい?」
ほら、幻聴。
いるわけないから。
「ねぇ、るい…今度は手加減してあげるよ」
「……」
幻聴にしては、はっきり聞こえていて、
なんだかあったかい。
「だから起きてよ。一緒にしよ」
────っ?!
ゆっくり目を開くと、そこには制服をきた七瀬がドアをパタリと締めて、部屋に立っていた。