【短編】泣き顔記念日


豊田は、七瀬の弁当代を代わりに払ったし、七瀬の名前を覚えていた。


それに、最近は友達伝えにあいつの連絡先を知ったらしく、メッセージのやり取りだってしてるみたい。


七瀬は僕に言わないけど、顔に『毎日楽しい嬉しい』って書いてあるからわかる。


付き合う可能性の方が大きい。


いや、絶対付き合うじゃん。


七瀬の友達が大きな声で話してる内容は大抵『脈あり』をほのめかしているし。


聞かないように見ないようにしていたけど、七瀬が僕の意識にあれば無意識に彼女の情報は僕の中に勝手に吸い込まれている。



本当、僕は最後まで、見てるだけだったな。



わかっていたのに、何もしなかった自分にだんだんイライラしてきて、家に帰ってきた僕はボフッとベッドに倒れこんだ。




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