東京恋愛専科~または恋は言ってみりゃボディブロー~
「ど、どうも…」

幸いにも、早い時間にきたと言うこともあってか客はまだきていなかった。

村坂さんの姿もそこにはいない。

カウンター席に腰を下ろすと、
「ご注文は何にされますか?」

バーテンダーが聞いてきた。

「えっと…じゃあ、ファジーネーブルで」

「かしこまりました」

注文を受けると、バーテンダーは手なれたようにカクテルを作り始めた。

「お待たせしました」

コトッと、私の前にカクテルの入ったグラスが置かれた。

「ありがとうございます…」

私はお礼を言うと、ファジーネーブルを口に含んだ。

ああ、美味しい…。

ふうっと息を吐いてグラスを置くと、ドアが開いた音がした。

村坂さんもきたようだ…と思って視線を向けたら、
「つづりさん…」

そこにいたのは、副社長だった。
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