東京恋愛専科~または恋は言ってみりゃボディブロー~
副社長は、私とおつきあいをしたいんですか?

何があって、何を思って、そんなことを言っているんですか?

あなたのことを信じてしまいそうです。

勝手に勘違いをしてしまいそうです。

「つづりさん…」

副社長が私の名前を呼んだ。

たったそれだけなのに、私の心臓がドキドキと早鐘を打っている。

どうすればいいんだろう…。

もうこの機会だ、直接聞いてしまおう。

「――あの…」

そう思って唇を開いたら、
「――なーえー…」

その声に驚いて視線を向けると、テーブルのうえに突っ伏している村坂さんだった。

しまった、忘れてた…。

「元カノに振られたことが、よっぽどショックだったんですね…」

その様子に、副社長は呟いた。

「そ、そうみたいですね…」

それに対して、私は呟くように返事をすることしかできなかった。
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