東京恋愛専科~または恋は言ってみりゃボディブロー~
「アチチ…」

焼きたてと言うこともあり、クロワッサンはまだ熱かった。

半分に割ると、パリッといい音がしてホワッとバターの香りの湯気が出てきた。

口に入れた瞬間、バターの香りが鼻を抜けた。

「美味しいです!」

私が言ったら、
「よかったです」

副社長は笑った。

あっ、そうだ。

ここへきたのはクロワッサンを食べるためじゃなくて、副社長に話を聞くためだった。

その目的を思い出した私は食べかけのクロワッサンを皿のうえに置いた。

「あの…それで、お話と言うのは?」

私は副社長に話を切り出した。

「食べながら聞いてくれても構いませんよ」

副社長はそう言ったけれど、私は彼の話に耳を傾けた。
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