東京恋愛専科~または恋は言ってみりゃボディブロー~
彼女がピンクの唇を動かして何かを言うと、杉浦さんの前から立ち去って行った。

杉浦さんは彼女の後ろ姿を見送ると、急ぎ足で会社の方へと向かって行った。

「…何だありゃ」

と言うか、さっきの黒髪ボブの女性は誰だったんだ?

違う部署の人かな?

杉浦さんと仲が良さそうだったところを見ると、同じ派遣社員仲間とか?

あー、でもあんな人いたかしら?

私が知らないだけなのかも知れないけど、どうなんだろう?

「あ、遅れる!」

昼休みは残りわずかだと言うことを思い出し、私は走って会社の方へと向かった。

まあ、いいか。

今度どこかで会ったらあいさつをしよう。

心の中で完結させると、飛び込むように会社の玄関に入った。
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