東京恋愛専科~または恋は言ってみりゃボディブロー~
そっと顔をあげると、副社長のキレイな顔がすぐ近くにあった。

どうしよう…。

どうすればいいのかわからないよ…。

もう何をしたらいいの…?

何をして、どうすれば正解なの…?

心臓がドキドキと、早鐘を打っている。

「――つづりさん…」

副社長が私の名前を呼んで、顔を近づけてきた。

あっ、これはもしかして…。

副社長の目が閉じられた瞬間、あわせるように私も目を閉じた。

「――ッ…」

唇に触れた温かいぬくもりに、私は自分が副社長とキスをしているんだと言うことを知った。

ただお互いの唇が触れているだけなのに、頭の中がフワフワして心地いい気分だった。

先ほどまで感じていた戸惑いや恥ずかしさは、もうすでに消えてなくなっていた。
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