【超短編 20】蛙のノググ
「♪村さ、めでたい狐の嫁入り、しかし年だと、初夜きりやらずの小ぶりの夫、嫁は涙ぁ見せるも、つゆ知らず、あられに思しグレ虎が、夜のじうじに夜這いをかけて、肘がさ脚まで模様さ乱れ、通りかかった夫が見ぞれ、ついり別れを言うだちた」
 ノググが一曲歌いきると、大勢から大きな拍手が送られた。バチバチと土に弾ける勢いを増した雨ほど彼にとってありがたい観客はいなかった。
 気分を良くして、さぁもう一曲と思ったところでノググに影が近づいた。
「やぁ、貴方はお初にお目にかかるヤモリだね。名前はなんていうんだい?」
「私はカルツ。君の歌声は素晴らしいね」
 カルツは年季の入った尻尾をゆったりと振った。
「ありがとう。早速だけどもう一曲聴いてくれるかい?」
「せっかくだからコーラスで聞いたみたいもんだね。それだけいい声が出せるんだ。きっと美しいと思うよ」
 カルツがウットリとそう言うと、ノググはつまらなそうに喉を膨らませた。
「何を言うんだ、爺さん。俺の歌声はソロだから映えるんだぜ」
「それは間違っとるよ。蛙は輪唱こそが一番美しい。君はそんなことも知らないのかね?」
 ノググは顔を真っ赤にさせて
「おいおい、随分な口ぶりだな。俺が何を知らないって? 俺は何でも知ってるよ。大きな海って地球が丸いことだってね」
「だとしたら、それは勘違いだ」
と、年老いたイモリはニヤリと笑った。
< 2 / 2 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:6

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

【超短編30】恋愛トマト談義
群青/著

総文字数/1,483

その他2ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
久しぶりに更新する内容ではないかも。
【超短編29】野外ステージの音
群青/著

総文字数/850

青春・友情1ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
まぁ、オチまで読んでください。
演っとけ! 劇団演劇部
群青/著

総文字数/93,095

コメディ109ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
「暗い」 「キモい」 「何をしてるか謎」 そんな演劇部の印象をプラスにするため、入学式を10日遅刻してきた佐々木栄斗が立ち上がった…矢先に演劇部が廃部に! 「部員を規定の数集めれば…」 「大会で優勝すれば…」 というお約束のサクセスチャンスを全く作ってくれない冷酷な生徒会が演劇部(だった団体)の前に立ちふさがる!! どうする、佐々木栄斗?! 戦う前に不戦敗してしまうのか?!

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop