きみは宇宙でいちばんかわいい
彩芭くんは、その体勢から微動だにしないまま、自身の右手をじっと見つめていた。
恐ろしいほどに整った顔の真ん中に、これまで見たこともないような、かなり驚いた表情を浮かべている。
だけど、それもきっと、仕方のないことだ。
いままで何においても従順だったはずの相手に、まさかこんな反応をされるとは、彼も想像すらしていなかったのだろう。
「……彩芭くん、ごめんね。でも、ほんとうに、わたしは大丈夫だから……」
彩芭くんが、純粋に心配してくれているということは、ちゃんとわかっている。
わかっているから、本当に心苦しいし、自分でも信じられないくらい、ずきずきと胸が痛んだ。
でも、だから、彩芭くんも、どうかわかってほしい。
わたしは、これ以上、自分の気の弱さや、情けなさのせいで、朝香ちゃんを不安な気持ちにさせたくないの。
彩芭くんの右手をふり払ってしまった、最低な自分の手のひらを、胸の前で抱きしめるようにして、ぎゅっと握りしめた。
少し震えていることを、いまここにいる、誰にも知られてはいけないと思った。