きみは宇宙でいちばんかわいい


わたしをベッドに寝かせたあとも、柊くんはなぜかグラウンドには戻らず、傍らに座ったままでいた。


保健室の先生は救護テントのほうに行っているから、いま、この白い空間には、柊くんとわたしのふたりだけだ。

体育祭で、校舎のなかに誰もいないことも手伝って、保健室は普段の何倍も静かだった。


「あの……柊くん、ありがとう」


この静寂のなか、自分だけ横になっているのが妙に恥ずかしいので、なるだけ明るい声を出してみる。

答えるように、柊くんの優しいまなざしが、こちらへ下りてきた。


「ん、気分はどう?」

「んん……やっぱりちょっとだけ、気持ち悪いかも……」

「え、マジ? 吐きそう?」

「あっ、ううん、そこまでじゃないから、大丈夫。ありがとう」


枕に頭を擦りつけながら、ふるふるとかぶりを振る。

柊くんはあからさまに心配そうな表情を浮かべると、わたしの顔を覗きこむようにして、ためらわずに額を近づけてきた。


「なな、きょう、もしかしてずっと無理してた?」

「うっ、ううん、そんなことないよ。午前中とかね、ほんとに元気だったの」


どぎまぎしていることに気づかれないよう、なんとか平静を装って答える。

< 163 / 285 >

この作品をシェア

pagetop