きみは宇宙でいちばんかわいい
だけど、首を縦に振ったのは、決してそれだけが理由じゃなかった。
いま鏡に映っている別人のような自分のことを、彼の言った通り、わたしはたしかに、ちゃんと、かわいいと感じている。
「でも、こうして彩芭くんの隣にいると、やっぱりわたしはどんなに着飾っても、“こけし”だね」
「え? うわ、嘘だろ? こけしって言ったの、まだ怒ってんの?」
「べつに怒ってないけど、そう言われたこと、たぶん一生忘れられないと思う」
「なんでだよ。俺はいまでも、本気で、めちゃくちゃかわいいと思ってんだけどなぁ、こけし」
ちぇー、と口をとがらせて、本当に残念そうにしているので、つい笑ってしまう。
こんなにかわいい彩芭くんから、こんなに絶賛されて、こけしは幸せだなぁ、なんて、しょうもないことを思うくらいには、いまとなっては、べつだん気にしていないのに。
「――ななちゃん、おはようっ」
そのとき、わたしたちの真ん中に、花のような声が落っこちてきた。
何気なく顔を上げて、その姿勢のまま、フリーズしてしまう。
もはや、たぶん、息をのむことさえ忘れてしまっていた。
ミスコン用にドレスアップした小宮山朝香ちゃんは、どんな言葉を使っても形容しがたいほど、あまりにも、美しかったのだ。