170回、好きだと言ったら。



鞠が泣いてるところなんて潤や桃妃子はあまり見たことがない。

驚きを隠せない様子だったが、小野瀬は知らない人だったため、気まずそうに視線を逸らすだけだ。


「……すみません、僕が巻き込んだから」

「鞠、アンタやっぱりメガネのレンズ入れてへんやろ」

「…潤、止しなさい。鞠だって変わりたかったからメガネをかけたのよ」

「…それも嘘をついてすみませんでした。
メガネをかけたら変われたような気分でいましたが、それは僕の思い違いで」


俯いた鞠に潤がため息を零した。


「アンタのネガティブはもう慣れたわ。
ほんで実衣ちゃんが起きたら何言うん?」

「…彼女を支えられるように、傍にいますって」

「は?」

「え、何かおかしいこと言いましたか?」


< 257 / 284 >

この作品をシェア

pagetop