170回、好きだと言ったら。
急に立ち上がった彼を怪訝そうに見た三人は何かを決心した潤に気づいた。
「…照道に実衣ちゃんの話してくるわ。桃妃子は小野瀬ちゃん送り届けてくれへんか?」
「え、ええ。勿論そうするわ」
「鞠は着いて来るんや。悪鬼実野族の頭は照道やから、ちゃんと挨拶するんやで」
「…はい」
それぞれが動き出した後、彼女の病室前には誰もいなくなった。
痛々しい包帯を頭に巻いて、規則正しい寝息を立てている。青白い肌は照道と距離を置いてからより一層酷くなっているようだ。
伏せられた睫毛はぴくりとも動かない。いつの間にか成長した彼女を見て、自分の伸ばした手のひらはゆっくりと彼女の頭に触れた。