170回、好きだと言ったら。



はっと我に返って、昔のことを思い出してる場合じゃないことに気づいた。

テルくんのイライラメーターが、少しずつ上がっていたから危うかった。

テレビを観てるかと思えば、こっちを凝視するテルくん。


毒なんていつもいれてないよ。
というか、毒なんて持ってすらないからね。
テルくん、お願いだからテレビ観て下さい。


「……飯、今日は何だ」


ぽつりとテルくんが話しかけてきた。

あたしはまな板の上でキュウリを切りながら
「えっとねー」と言いかけて言葉を止める。

急に真後ろに立ったテルくんは、そのまま顎をあたしの頭の上に置いた。

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