170回、好きだと言ったら。



優しい彼女に感動していると、ふとあたしの机に三人ほど女の子が近寄ってきた。

驚いた小野瀬さんはあたしの背後に隠れる。
綺麗に仕上げられたメイクを見て、あたしの視界には昔苛めてきた女の子と被った。


「ねえ、最近沖宮さん喋ってるけどさー。
清水くんとやっぱ付き合ってんの?」

「メイクもしてないような子と?
ないない!
芽衣のほうがお似合いだって!」

「そうそう~! で、芽衣を応援したいからアンタは近寄らないでくれる?
清水くんだってベタベタ、アンタに引っ付かれて迷惑だと思うよ」


…同じだ。
小学生の時見た先輩の顔と、中学生の時ひっぱ叩かれそうになった同級生と何もかもが一緒だった。


理不尽な言葉で怒ってきたり、まるであたしが悪いみたいな言い方されて。
それでも言い返せないのがあたしだった。

お兄ちゃんやテルくんの後ろに隠れて、いつも泣いてばかりだったのが、弱虫だった頃のあたし。


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