そのくちづけ、その運命
冷静になって考えると、真人くんが私にしたこと、言ったことのすべてが不自然なことのように思えてきた。


でも、そんなときふと脳裏をよぎるのは彼のあの切なげな表情。何かを訴えかけるようなあの瞳。


頭の中がぐちゃぐちゃだ。


ドクドクドクドク―――…

一回おさまったと思った胸の鼓動が再び高鳴り始める。

「はぁ…何これ。本当に私の人生だよね…はは」


服も髪も雨に濡れて、肌にへばりついて気持ちが悪い。



その日、相変わらず雨は激しく降り続いていたが、私は結局駅のコンビニで安いビニール傘を購入し、アパートまで歩いて帰ることにした。

3駅分の距離だ。歩けないこともない。

一日のうちにいろいろなことがありすぎて疲れていたけど、これ以上変な目で見られるのはごめんだった。
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