そのくちづけ、その運命
だって、私の心をとらえて離さなかったあの絵の作者は、結局分からないまま高校を卒業してしまったけど、
3年の月日が経って、私の恋人として今目の前にいる――この人なんだから。

こんな偶然あっていいのだろうか。

それこそ、本当にいつかの夢で見た、「運命」そのものではないか。


運命だなんて、バカにしてたけど彼との巡り合わせなら大歓迎…かも。
心の中でつぶやく。


「実琴の好きなところ?オレに言わせるの?」

何その言い方。
いちいち愛おしくて思いっきり撫でくり回したくなる。

「オレ、初めて好きになったのが実琴だから、
ほかの女子のことはよくわかんないけど、」

真人くんが口を私の耳元に近づかせるのがわかる。

ほのかな息づかいと髪の毛が耳を撫でてくすぐったい。

「実琴は、俺の知る限り、世界一素敵な女の子だよ」

「………っ」

なんてきざなセリフを当然のように口にする人だろう、この人は。

でも。



………ありがとう。

あなたと出会えてよかった。
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