1周年記念のペアリング
彼は、
「なんか石のついたやつじゃなくていいのか? ・・・俺の指輪なんて要らないから、お前の好きなの選べばいいのに。」
と言った。
それは、私に対する優しさなんだと思っていたけど、本当は自分の指輪なんて要らないって思っていたんだろう。
あの頃の私は、本当に素直に思ったままの言葉を口にする、我儘な子供だったから気が付けなかったけど。
彼の元カノに、
「ペアリングなんて嬉しそうにしちゃって、馬鹿みたい。
雅人が1年も同じ女と付き合うとは思わなかったけど、あなたって本当に雅人のこと何も解って無いのね?
雅人は束縛されるのを嫌がるのよ? 独占欲の強い女は今に捨てられるわ!」
と鼻で笑われた時、私は茫然とした。
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