サヨナラ、大好きだった。
第1章 響く音
人通りの多いこの道路はいつも賑やかで人であふれかえっている。
電車に乗っているけど、今日は出勤なんかじゃない。
中学時代の友達の結婚式に行くのだ。
先日、急に届いた旧友からの招待状に地元で独身ライフを満喫している私は驚いた。
いわゆるクラスカーストと言われる中で、私と同じくカーストにさえ入れてもらえないところに所属し、容姿ははっきりしない頭はイマイチの葉月が同級生の中で1番早くに籍を入れたのだ。
私よりも早く結婚するとは思わなかったショックに電車の吊り革に頭をぶつける。
相手であるお婿さんがイケメンであれば、間違いなく不機嫌になるだろうな。
式場はインターネットで調べてみたが、高級一流の新築の教会だった。
美しい色とりどりのステンドグラスで装飾され外装は有名な建築家の設計らしい。
私も将来はこんなところで式を挙げたいな。
まぁ、挙げてくれる相手が現れるのかどうかが先だろうけど。
私はなんて性格が悪いのかな、一人で苦笑してしまう。
悶々と考えている内に会場に着いた。

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