取り込む家
週末~咲サイド~
優生の両親と約束をした週末になっていた。


あたしは朝から慌ただしく部屋の掃除をし、お昼に作るハンバーグの下準備をしていた。


「咲、そんなに緊張しなくていいよ」


優生があたしの手伝いをしてくれながらそう声をかけて来た。


「わかってるよ。でも、いい彼女だって思われたいから」


あたしはそう言い、ハンバーグのタネにラップをかけて冷蔵庫へしまった。


「咲が挨拶に来たとき、両親はとても好印象だったよ」


「ありがとう。だけど、同棲とか結婚ってなると違うと思うんだよね」


あたしの言葉に優生は首を傾げた。


「同棲ってことは、いよいよ結婚が近いって思われてもおかしくないでしょ? しかも一軒家を借りたんだもん。今度は優生の彼女としてじゃなくて、優生の結婚相手として見られると思う」


真剣な表情をしてそう言と、優生は驚いた顔してジッとあたしを見て来た。
< 116 / 223 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop