取り込む家
彼らがいるから、家は家として呼吸し、そして俺も俺になることができる。


俺はベッドの上で寝返りをうった。


いつの間にかこの部屋から出ることが恐ろしいと感じるようになっていた。


常にそう考えているわけじゃない。


時々、本当にふとした瞬間に、この屋根裏から出たら自分は一体どうなってしまうんだろうかと、不安になるのだ。


彼らはきっと驚くだろう。


この家から出ていくに決まっている。


彼らと俺はここで一緒に暮らしているけれど、きっと二度と会えなくなってしまうだろう。


そう考えると、急速に怖くなっていくのだ。


俺の生活は彼ら抜きでは成り立たない。


彼らは俺にとっての救いであり、親のようなものだった。


そんな2人に合う事ができなくなってしまうかもしれない。


考えると寒気を感じ、俺は物音を立てないよう静かに呼吸を繰り返したのだった。
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