取り込む家
「カナのやつか」


タチバナがため息交じりにそう言った。


「そう、そのカナちゃんよ。だからあたしは病院に行くことができなくなった。それでもあんたが退院すればまた一緒にいられると思ってた。でも……カナちゃんはあたしの家まで押しかけて来た」


「うそだろ!?」


タチバナの顔色がサッと青ざめる。


「本当だよ。病院帰りのあたしの後を付けて家がバレてしまってたの。


あんたが退院する前にカナちゃんはあたしの家に来て、あたしの両親の前で泣きながらこういったの『あたしの彼氏に近づかないで』って……」


その時の事を想像するだけで胸が痛んだ。
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