私たち政略結婚しました!~クールな社長と甘い生活~
岩槻家では、クリスマスは静かに何となく過ごす。

年末商戦に向けて、ろくにくつろいでいる暇はないけど。

そのかわり、一応、お正月は自宅で過ごす。

祖父が元気だったころは、一日から様々な人たちの訪問を受けその人たちをもてなした。

だから、素人の私が出る幕はない。

それはごもっともですが。

しげさんの指導は容赦がない。

どっちが使用人なのかしらと疑うほど、ダメだしされる。

でも、彼女はとても背が小さい。

高いところの食器なんかを取り出すにも、小さな脚立を持ち出してようやく手が届く。

私が最近覚えた、しげさんに対する仕返しは、彼女が脚立を取りに行っている間に、私が背伸びをして皿を取り出しておくことだ。


しげさんが、キッチンに戻って来た時に、テーブルの上に取り出そうとした皿を見つけた時の、ほんのわずかな目の輝きに、くだらない喜びを感じる。

もちろん、しげさんは感情を表に出したりしない。

「取っていただいたのですね。ありがとうございました」

そう言って、脚立を片づけてしまう。

「まったく、それにしても、奥様は塔子お嬢様そっくりでございますね」
彼女は、こうして私にやり返す。

しげさんは、楽しそうだった。

家事の合間に、昔のことなどいろいろ話してくれた。





そんな時、私に一本の電話がかかって来た。



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