私たち政略結婚しました!~クールな社長と甘い生活~


真木子の言葉より、何よりも
説得力があったのは、
高陽さんが自宅で撮った
写真と同じ部屋だったことだ。

あの部屋を見るまでは、
どこかあの女の一方的な話だと思えた。

彼女がデタラメを言っている。
そう思う事が出来た。

でも、高陽さんが暮らしていた部屋に
彼女は住んでる。

あの人と、一緒に暮らしてたってこと?

少なくとも、高陽さんがあのマンションで暮らしていたのは間違いない。

それでも、彼が無関係だと言える?

そう思いたいけど、あの部屋を見たら
彼が無関係だなんて思うのは難しい。

彼女は、高陽さんが住んでたマンションで暮らしてた。

家具の位置が少し変わって、
雰囲気も変わっていたけれど、
あの部屋に間違いはなかった。

智也にもそう言った。


ああ、どうしよう。


「何かの間違いだって思うけど……
苦しいなそれは」

「うん」

感情が抑えられなくて、こんなふうにめそめそ泣いていても、事態は良くならない。

智也は、高陽さんの味方になって、
彼の疑いを晴らそうとしてる。

智也は優しい子だ。

二人の間を、何とか保とうと思ってる。

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