私たち政略結婚しました!~クールな社長と甘い生活~


「それに、結婚した後も、君は俺の期待を裏切らなかった」

「とういうと?」不安がよぎる。

彼は、笑いながら言う。

「訪ねて行ったら、変わった鍋料理を食べさせられて、変なクッションに座らされたな。おまけに」

「おまけに?」

「枕で力いっぱい叩かれた」
彼は、ジェスチャーでしめしながら、思い出しながら楽しそうに笑っている。

「それが?どうかしたの?」私にはピンとこない。
 
それのどこが印象に残ってるのか

「奈央にはわかるかな。
今の俺に、誰もそんなことしてくる奴はいないんだ。

会社でも、親しくしてる人もいる。でも、その人たちも、俺からすればみんな部下なんだ。
友人も利害関係が邪魔をして、正直な意見を言ってくれる人間は本当に少ない。

みんな俺の顔色をうかがう。
気に入らないことは事前に察知して、俺の好みに合わせてくるんだ。

みんな遠慮して、本音を話さない。

意見を求めても、俺の望むようなことしか言わない。
これが、どれだけつまらないか分る?」


「そういう目に合ってないからわからないけど。孤独なのね。
想像することはできるわ。偉いですものね。社長さん」


「それで……
君と暮らしてみて、これは特別な人だってわかったんだ。
君だけは他の人と違う。

お金を積まれても、いらないって言うし
他の女と浮気してもいいなんて言うし。

君は、いつも自由で捉えどころがなくて。
俺は、君のことがうらやましい。

君に枕で叩かれたとき。
バシッと顔に枕を当てられて、我に返ったというか。
この人だって思った。

楽しそうに戯れるって
どういうことか分かったんだ。

俺に枕を投げつけられるのは、
世界中探しても君しかいない。

愛してるよ。奈央。結婚して欲しい。

君に断られたら、俺は生きていけない」

彼は、ポケットから指輪を出した。

小さな輪が、きらっと小さな光を放っている。


「今、それを、私にはめてくれるの?」

「そうしても、いのか?」

「ええ、もちろん」

彼の指が震えてる。

もどかしそうに指にはめようとしても、緊張しているのか、上手くいかない。

「ごめん。こんな時に、手が震えて上手く入れられない」

「手伝うわ、あなた」彼
の手にそっと指を添える。

指にぴったりと収まった。

祝福のキスをした。

甘くて、心地よいキス。


「奈央、今夜はどこかに泊まろう。二人きりで過ごして、本当の夫婦になりたい」

「はい。旦那様。仰せの通りに。
でも、あの二人は、どうする?私たちの帰りを待ってない?」


「大丈夫、二人できっと昔話に花でも咲かせてるさ。
そんなことより、奈央、目を閉じて」

高陽さんが、そっとキスをしてくれた。


「これからは、ずっと一緒だよ。片時も君と離れたくない」

私は、はいと頷いて、彼のキスに答えた。

確かに。もう何もいらない。

あなたさえ、そばにいてくれたら。


【完】

ほんのおまけ

「高陽さん、もう飲めない。眠い」
「大丈夫か?ちょっと待って、ほら奈央、背中に乗って」

高陽さんが背中を向けて、屈んでいる。
私に乗れって言ってるんだ。

「でも、重いですから」
カシミヤのコートによだれを付けたくない。
「夫が妻を背負うんです。そんな事も出来ない男だと、あなたは思ってるんですか?」
「でも……」
「眠ってしまっても大丈夫だよ。これからの人生、君を背負ってくのに比べたら本当に小さなことだから」
「はい」
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