私たち政略結婚しました!~クールな社長と甘い生活~

「最初は、君が何に怒っているのか分からなかった。身に覚えがまるでなかったんだ。

でも、君に責められてるうちに、誤解だと気付いたけど、事態は別の方に行ってしまって」

「ごめんなさい。
もっと冷静になるべきだったわ」
私は、彼の手を握った。

「君も、冷静じゃなかったてこと?」
うつむいてた彼が顔を上げる。

「ええ、そうよ」

「それは、どうして?」

「あなたが好きだからよ。
好きになってたから、冷静に判断できなかったの」

彼は、ほんとだろうかと私の顔をのぞき込む。

目が合った。

しばらく見つめあって、お互いに間違いないと思った。

「奈央……よかった」

彼は私をぎゅっと抱き寄せると。頬にキスをした。


「あなたは、どうなの?」


「見れば分かるだろう?」
彼は安心して、小さな子をあやす様に、腕の中の私をずっと抱きしめている。


「ダメよ。
告白ごっこは、恋愛の醍醐味なんだから。抜け駆けは許さないの」

「最初は……結婚なんて、こんなもんかと思った。
決められた相手と結婚するのは、避けられないと分かってたから。

自分には、せいぜい祖父が決めた数人の中から、一人を選ぶ権利しかないって思った」

「数人の中でも、私を選ぶなんて、すごい冒険をしたのね?
私以外は、欠点のない完璧な美人ばっかりだったんでしょう?」

「そうだね。でも、全員に会って、最後に会った君が、一番面白いと思った。
ずっと一緒にいるなら、こういう女性がいいと思った。
他の女性は、みんな、俺と結婚したら、自分はどんなに素晴らしいかって、アピールばかりだったしね」

「そうなんだ」

「君は他の人と、全然違ってた。俺との結婚より、お金をもらえることの方を喜んでただろう?」

「喜んでた?」
しっかりと見てたのね。

「新鮮だったよ。俺との結婚に興味があるんじゃなくて、じいさんの財産のほうに興味があるんだと思って」

「100万円くらいの遺産が手に入ると思ってたの。
それで、顔が緩んだのね。
あなたと結婚しろって言われてもすぐには、ピンと来なかった」
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