私たち政略結婚しました!~クールな社長と甘い生活~


ここ、IWATUKI Co., Ltd.の社長室は、機能的にできている。

大きなガラス窓の手前に、
社長の机と椅子。

会議用のテーブルが、真ん中にでんと置いてあって、その上にはモニターや使い方の分からない機器類がいくつもセットされている。


そのテーブルの反対側に、私が座っている革張りのソファがある。

このソファ、ゆったりしてるし、フカフカして座り心地は素晴らしい。

この社長室で、社内の打ち合わせも、海外のオフィスとのWEB会議もできるように設備を整えている。

岩槻高陽社長は、最新式の機器を使って、部屋の中で何もかも済ませてしまうタイプだろう。

有能で無駄のない合理的な人だと噂に聞いている。


しかし、この部屋の主、岩槻高陽(いわつき たかはる)は部屋にいない。

現場の視察が長引いていて、遅れてくるそうだ。


社長を待つ間、お茶を出してもらい上品な和菓子も添えられた。

「焼き栗きんとんでございます。
和菓子がお好きだと伺いまして」

「はい。ありがとうございます」

和菓子が好きだなんていつの話だろう。

最近人にそんなことを話した記憶がない。

お菓子は、とても上品な味がした。わざわざ地方から取り寄せてくれたらしい。
純和栗だけを使っている、高級な栗きんとんだと教えてくれた。

お菓子は本当に美味しかった。

確かに美味しいけど。

一箱五千円もする栗きんとんを、わざわざ食べさせるために呼んだわけではないだろう。

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