私たち政略結婚しました!~クールな社長と甘い生活~
 今の時刻は9時を少し回ったところ。

朝、会社に行く前に早速、旦那様を呼び止めなきゃ。

もう少し話ができるかな?

なにしろ、結婚するって決めただけで他の事は何一つ決めていない。

明日からどうするのかって事から、何も決まってないのだ。


とにかく、引き留めて話をしよう。

それに、彼の部下にも妻だって存在をアピールしたい。

そうしないと、私と結婚したことだって忘れられそうだ。

話の中に入っていけないから、既に、忘れられてる気がするけど。

話し込んでるだけじゃない。


高陽さんは、役所にいるときだけでも何本も電話を受けている。

話し込んでるうちに、彼は背中を向いてしまった。

本当に忙しい人だ。

家に帰ってくるのも遅いんだろう。


私はたった今、夫になった男の背中を期待の目で眺める。

広い背中っていいなあ。

結婚したって言っても、形だけだから。

丸ごと自分の物になった訳じゃないけど。

思わず後ろから抱きつきたくなる。

触るくらいならいのかな。

この背中が一日中、家の中にいるんだ。



そう言えば、これから住む所どうするのだろう。


住むところはもちろん、これから送る生活のことについて話し合わなければならない。

なにしろ、結婚前の普通のカップルがしてくるような会話は、何もしてないんだから。

こんなんで、よく結婚したなとバカにする弟と親友の顔が浮かぶ。


私の方は、もう少し時間があるか……

今後のこと話し合いたい。
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