私たち政略結婚しました!~クールな社長と甘い生活~
智也が去っていく車の音が聞こえるまで、高陽さんはじっと私の事をにらんでいた。

私は彼に構わず、せっせと高級な羽毛布団を袋から出して、空気をたっぷり含ませる。

出来るなら、中の羽毛を全部むしって部屋中にまき散らしたくなった。

「あの男、ずいぶん若くないか?」

膨らんだ布団を押さえつけていた私に、彼が背後から言う。

「若いって言っても、4つ違うだけよ。あれでも25歳だし。
ラフな格好してるから大学生みたいに見えるけど」

高陽さんは目を細め、腕組みしたまま、じっと私を見下ろしている。

高陽さんの頭の中で何が起こっているのか、私は、なるべく考えないように心掛ける。

袋から取り出した布団を抱えて、押し入れにしまおうとしたら、

「それ、俺がやるから、貸して」と、高陽さんが代わりにしまってくれた。

「ありがとう」

私は、少しだけ微笑んだけれど、帰ってきた返事は冷ややかなものだった。

「奈央、これから人を使う時は、業者を頼みなさい。君のボーイフレンドをこの家に呼ぶのは遠慮してくれ」
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