私たち政略結婚しました!~クールな社長と甘い生活~
私は、頑張って高陽さんの前に出た。
精いっぱい、胸を張って言う。
「この家に住むようになったら、男友達も家に呼べないんですか?」
高陽さんの冷ややかな目が、尖っていっそう鋭くなる。
「何を考えてる?
家に白昼堂々と間男を連れ込んで、部屋でことに及んでるような真似は、二度と許さないからな」
はい?
なんですか、それは?
間男を連れ込んで、部屋でことに及んでるって。
翻訳すると、智也と私が、いかがわしい行為をしてるんじゃないかって疑ってるのね?
冗談じゃない。
このままにはしておくものですか。
「許さないですって?横暴だわ。そんなの納得できない」
「なに?」
高陽さんが、距離を詰めてくる気配は感じていた。
言葉は強くても、声の調子は落ち着いているし、表情も変わらなかった。
だから、彼が相当怒ってるってことに気が付かなかった。
こんな時、彼を煽ってはいけない。絶対に。
「ええっ?」気が付いたら、体がふわっと浮いた。
自分の身に何が起こったのか分からなかった。
高陽さんは、私をタックルするように畳の上に押し倒していた。
あっという間の出来事だった。
どさっと、何かにぶつけられたと思ったら、私は両肩を畳に押し付けられて、彼の下敷きになっていた。