「Love logic」だから僕は、誰も好きにはならない。
番外編 彼と彼の恋愛事情
「なぁ桐生、おまえ玲奈ちゃんと付き合ってるのかよ?」
再び人の部屋に、夜中に押しかけてきた佐伯が訊いてくる。
「……おまえには、関係がないだろ」
「関係がないって、またそれかよ? けっこう会社で噂になってるぜ? あの難攻不落の桐生がとうとう落とされたって」
「……噂など、関係ない」と、くり返す。
「おまえには関係なくても、俺にはあるんだって……」
言いながらネクタイを緩めて、アルコールを口にする。
「……何がだ」
また酔ってきているのかと、苦々しくも思いながら横目に見る。
「……俺は、気になるんだって。おまえが、誰かと付き合うのかと思うとさ…」
「……なぜ、おまえが気になるんだ」
たいして意味もわからず、どうせ酔っ払った戯言だろうと、酒を飲もうとつかんだグラスを、
「……聞けよ、ちゃんと俺の話を」
と、佐伯の手が取り上げた。