「Love logic」だから僕は、誰も好きにはならない。

「僕は、誰とも付き合わない。誰も、好きになるつもりもない」

言うと、

彼女は、ワインを一口飲んで、不意に真顔にもなって、

「……。……なんだ、やっぱりみんなの言ってたことって、本当だったんですね?」

と、口の端で薄く笑った。

「……本当って、何がだ…」

会社で感じていた、あの妙に刺さるような視線が、急にまた思い起こされた。

「……桐生さんは、本当は恋愛ベタだって……」

わざと皮肉るような言い方をして、また薄く笑う。

「……恋愛ベタなわけじゃない。付き合ってはいなくても、相手には不自由してない」

イラついてそう返すと、

「……するだけの相手とか、そういうのですか?」

さらに煽るようにも言って、さっきまでの媚びた表情がまるで嘘かのような、小悪魔じみた微笑を貼り付ける。

「……僕は、それで困ってもいない。恋愛など、無意味だ」

「……無意味ですか」

口にして、

「……抱くことにも、なんの意味も見つけられないなんて、かわいそうですね…桐生さんって」

挑発でもするかのような彼女の話し方がカンに触る。



< 28 / 158 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop