あの夏の空に掌をかざして
 そして、光が消えた後に現れる、あの夢の中にあたしはいた。


「これで172回目……と」


 あの夕暮れの中の公園で遊ぶ女の子と男の子を横目に、あたしは日記帳に新しい情報を付け加えていく。


『あはは、×××くん!×××くん!』


『あ、待ってよ!』


 視界の端で、女の子が出口に向かって走り出す。男の子は、その女の子を追って、出口に走り出す。


 すっかり見慣れた光景に、あたしはそれを気にも留めず、日記に目を落としていた。


 それは、あの男の子の声だった。







『っあかりちゃん!!危ないっ』


 プップッーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーキキィィィ!!


 その声とトラックのブレーキ音に、バッと顔を上げる。キョロキョロと見渡すが、辺りに危なそうな物は何もない。


 ハッとして気づく。


 事故に遭った女の子の、顔のモヤが取れていたことに。




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