あの夏の空に掌をかざして
「……え…なんで?」


 女の子は、その小さな頭から、どくどくと真っ赤な鮮血の地溜まりをつくり、倒れていた。


 真っ黒なロングストレートをツインテールにし、10年ほど前大人気だった、幼児向けのアニメキャラがプリントされた服を着ている。


 その女の子の顔は、小さい頃のあたしだった。


「…んで……そんなわけ……ない…だって、あたし…」


 その事実が信じられなくて、あたしはじりじりと後退する。


 どうして!?あたし、死んでないよ!この町に来たのも、日向とが初めてのはず……。


「っいた!」


 目の前に気を取られていたせいで、後ろにあった小石につまずいて、ドスン、と草むらに尻餅をついた。


 そこで、意識が遠退き始めた。


『あかりちゃん!!あかりちゃん!!死なないで!!』


 そんな男の子の声を聞きながら、完全に意識がきれた。


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