あの夏の空に掌をかざして


 ……てことは、10年前、仮にあたしが事故に遭ったとして、あの男の子はどうなったんだろう。


「ていうか、あの男の子は誰なんだろ……」


 あたしの昔からの顔馴染みなんて、日向しか思い付かない。


 その時に仲良くなった子かもしれないけど、あったその日に、助けたいと強く思うほどの仲になるとは考えにくい。


 最悪、助けられずにきえてしまったとか……?


「……それが1番あり得て怖いな……」


 考えていても仕方がないので、あたしはため息をつきながら、10時になるのを待った。


 ピンポーン、聞き慣れた、あたしの家のチャイムの音。


「はーい」


 あたしは、そう返事をして玄関に向かった。
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