あの夏の空に掌をかざして
 日向に手を繋がれたまま、あたしは歩き出す。


 …ちょっとヤキモキするけど、日向と手を繋げるし、いっか!


 日向とテーマパークに来ていることと、手を繋いでいることも合わせて、あたしはご機嫌だった。


 鼻唄をうたいながら、スキップするように歩くあたしを見て、日向は言った。


「ご機嫌だね、今まで宿題頑張ってきたもんね、今日は楽しもうね」


「うん!それもあるけど、あたし、日向と来れることが嬉しいの!」


 日向の考えを聞いてから、何だか気持ちが軽くなったような気がする。


 まだ、何も解決していない。明確なヒントが得られた訳でもない。


 けれど、持ち前のポジティブさと楽観的な性格を取り戻して、絶望感を感じることは無くなった。


 『楽しむ』、まずはそれを第一に考えて、あたしはこれからを過ごすことにした。


 そして、思ったことは、ちゃんと伝えようと思った。


 いつかにも決めたことを、あたしは忘れてしまっていた。


 それに気付けたのは、日向のお陰でもあるから。


「日向!今日は、めいいっぱい楽しもうね!」
< 130 / 203 >

この作品をシェア

pagetop