あの夏の空に掌をかざして
【296回目】
 今日は、日向とショッピング!

 新しくできたショッピングモールで、色んな物見て、沢山まわって、すごい楽しかった!

 日向のコーディネートしたり!日向って何でも似合うから、やりがい感じるんだよね(笑)

 …まぁ、これ以上魅力的になって、ライバルを増やしたくないけど!



【297回目】
 今日は、学校に行った。

 日向はちょっとだけ呆れてたけど、結局、笑ってあたしについてきてくれた。

 だって、もう、最後かもしれなかったから。

 日向と学校に行くの、最後になるかもしれないから。

 あたし達が卒業した、保育園と、幼稚園と、小学校と、中学校と、そして、あたし達がまだ入学してちょっとしか経ってない、高等学校。

 こんな時じゃないとこれなくて、だけど、何で来なかったんだろうって、ほんの少しだけ後悔した。

 懐かしくって、隅々に、色んな思い出があって、あたしは泣いちゃった。

 日向はなんにも言わずに、あたしの頭をぽんぽんしてくれた。

 ありがとう、日向



【298回目】
 今日は、日向と、あたし達が生まれ育った町巡りをしてきた。

 やっぱり日向は呆れたけど、あたしは、どうしてもそうしたかったから。

 まずは、小さい頃によく遊んだ、小学校の裏山にある、古い神社。

 もう誰も参拝に来ていないのか、すごく古びていて、整備もされていないけど、そこはあの頃のままだった。

 次に行ったのは、顔馴染みになったほど通った、小さい駄菓子屋。あの優しかったおばあちゃんはもう居なくて、笑顔がおばあちゃんによく似ているおばさんが、快く迎えてくれた。

 他にも、歩き慣れた学校までの道や、あの河原や、土手や、あたし達の思い出の場所に、いっぱい行った。

 あの頃のあたしは、日向といっつも一緒で、遊ぶのも寝るのも、何をするにも隣に日向がいて、あたしなりに抱いていた家族愛が、だんだん淡い恋心になっていったんだ。

 その過程を、今日は辿っていった。

 全てに、あたしと日向の思い出があって、目を瞑ると、遊んでいる光景が今にも鮮明に思い出せるくらい。

 この町で、あたしと日向は、育っていった。

 もう最後かもしれないけど、あたしは、この町が、日向が、だいすき!

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