あの夏の空に掌をかざして
 起き上がり、あたしは道路に歩き出した。


「あ、あかりちゃん、大丈夫なの?まだ寝ていた方が…」


「大丈夫」


 信号の手前で止まって、日向に振り返る。


 心配そうな日向に、あたしは微笑んで見せた。


 すると、日向もホッとしたように微笑み、あたしに歩み寄って、頭を撫でた。


「よかった、ちゃんと病院もいくんだよ?心配だから」


 日向は、最期まで、あたしを子供扱いするんだね……。


 けど、それが最も日向らしい。


 あたしはふっ、と笑って、そんなことを思った。


 そして、日向に抱きついた。


 日向はいつもと変わらず、あたしを抱き締め返してくれた。


「ねぇ、日向…あたしね、日向が大好きだよ」


 すべき事は、とうの昔に分かっていた。
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