あの夏の空に掌をかざして
「日向といると楽しくて、幸せで、いっつも満たされたよ」


 僕もだよ、日向は優しくそう言った。


「日向はカッコよくて、優しくて、勉強も運動もできて、あたしなんかより女子力もあって、完璧な男の子だよ」


「あかりちゃん?急にどうしたの?」


 日向はくすくす笑った。いつもはこんなこと言わないから、おかしくなったのだろう。


「あたし、そんな日向と幼馴染みで、すごく、すごく嬉しかった」


 これまでのことを思い出したら、瞳に涙が溜まっていく。


 日向との思い出は、嫌なこともあったけど、毎日楽しくて。何でもない日でも、日向が居るだけで、すごく特別な時間になったんだ。


「そんな日向と、生まれたときからずっと一緒にいられて、幸せだった」


 下まぶたに収まりきらなくなった涙が、一粒、また一粒と流れてくる。


 それでも、笑顔は絶やしたくなかった。


「あかりちゃん…」


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