あの夏の空に掌をかざして
エピローグ
 今年になって、ある日突然、夢に見るようになった景色がある。


 ボヤける視界の中で、かろうじて少女と少年と分かる、十代後半くらいの二人がベンチに座っている光景。


 時刻は夕方くらい、大きな夕日が橙色に輝いていて、町をオレンジに染めている。


 二人がいるところは、僕の知らない公園っぽいところ。そこで顔にモヤがかかっている二人は、ベンチに座っている。


 公園には、二人以外誰もいない。


 少女が、出口に向かって歩き出す。少年は、その少女について歩く。


 信号の手前で振り返った少女は、何かを少年に語りかけ、抱きつき、泣いているようだった。


 暫くして体を離れ、少年を思い切り押し、少女自身は道路の方に飛び退くのだ。


 そこでーーーー。


 プップーーーーーーーーーーーーーーーキキィィィィィ!!!!!


 信号無視をした大型トラックが、走ってくる少女に突進してくる。


 よろめいた少年は、少女に手を伸ばし、抱き締める。


 夢の中の僕は、体が動けず、ただ目の前の光景を見ていることしか出来ないのだ。


「っっっーーーーーーーーー!」


 そこで僕は、いつも目が覚める。





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