あの夏の空に掌をかざして
リピートアゲイン

 夏真っ盛りのこの日、僕は隣町の"時逆町"という所に来ていた。


「やっぱり、懐かしい…」


 水族館に行って、定食屋[さかのぼり]でご飯を食べて、そして、今度はこの公園に来た。


 空はすっかりオレンジ色で、真昼の暑さでは考えられないほど、涼しくて過ごしやすかった。


「それって、10年前も来たからじゃないの?」


 声のした方を振り返ると、身長が低くて黒髪のロングストレートの女性が、こちらに小走りで近づいた。


 僕の彼女の、光夜飛鳥(コウヤ アスカ)だ。


 彼女を見ると、無性に撫でたくなる。


「も~!子供扱いしないでよ!」


 撫でても、今みたいにそう言って怒るけれど。


「ごめんごめん、でも、そうじゃないんだ。こう、何て言うか…もっと感覚的に…懐かしい、っていうか」


 アスカは、小首をかしげた。


 その仕草に愛しさが込み上げて、また撫でるけど、アスカは怒る。


< 201 / 203 >

この作品をシェア

pagetop