あの夏の空に掌をかざして
 撫でるのは、僕の最高の愛情表現のつもりだけれど。


「まぁ、それで、デートが出来たからよかった!えへへ」


 アスカは心底嬉しそうに言う。


 僕と同じ26歳だけど、どこか子供っぽい所があって、そこが僕の庇護欲をくすぐる。


 人目見た瞬間から、何だか他人とは思えなくて、惹かれた。そして、僕らは自然に恋仲になった。


 アスカを見て、懐かしい気持ちになったのは、きっと気のせいだろう。


 今日ここに来たのは、何故かここに来なければいけないような気がしたからだ。アスカも一緒に。


 所々に懐かしさがあって、けれど、誰と来たのかが思い出せない。


「日向!もう帰ろう?」


 疲れたのか、おんぶをねだり出したアスカに呆れながら、手をとって歩きだす。


 僕の手をすり抜けて、アスカは公園の出口に走り出した。


「日向ー!はやく~!」


 そして、くるりと信号の手前で振り返って微笑んだ。


 どこか既視感を覚えながら、その光景を見ていた。


「…懐かしいなぁ」


 ぽつりと、無意識に口にしていた。
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