あの夏の空に掌をかざして

 見知らぬ町にいる、小さい男の子と女の子。


 ああ、またか、あたしはそう思った。この数日間、1日も見ていなかったから、ただの夢だったのかと思っていたけれど、そうではなかったみたいだ。


 だけど、いつもと勝手が違っていた。


 ーーーあれ?これって、この前見たときの続き?


 そうなのだ、二人で笑い合う男の子と女の子。遠くには通りすぎたと思われるトラック。道路には、急ブレーキの痕もキチンと残っている。


「続き…だ、」


 今まで代わり映えもない夢に辟易していたが、いきなり変わると、逆に不安になるものだ。


 でも、同じ映画のワンシーンを延々と見せ続けられていたような状態だったので、見たいという好奇心も少なからずあって、期待と不安が心の中でごちゃ混ぜになっていた。


 でも、嫌な予感がする。


 胸の奥がざわざわするような、不快感。こんなときの予想は、高確率で的中するものだ。


 男の子の手をとって立ち上がった女の子は、男の子に手を引かれて、二人で歩き出す。


 しばらく歩き、商店街の一角で女の子は足を抑えてうずくまった。右足の足首が大きく腫れている。どうやら、転んだ拍子に足を挫いたらしい。


 男の子は、その女の子を手当てするために、周りの大人に声をかけに行く。


 その時だった。


「っあ!」


 頭上の商店の看板が、古かったのか、取り付けられている所から剥がれ、女の子の頭に直撃した。


 そこで、意識が浮上するのを感じた。
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